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ジョージアン エメラルドリング

私がアンティークディーラを始めた頃には大して珍しくもなかったのですが、最近ではなかなかお目に掛かかれなくなってしまった、とっても素敵なジョージアンのリングをご紹介いたします。
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デザイン的にはとてもスタンダードな形なので、私がいつも行くロンドンのマーケットやアンティークジュエリーショップには、もう少し新しい時代の似た指輪でしたらいくらでも有ります。それなのにこのエメラルドリングに目が留まり、心が引き込まれてしまいました。これは私の感じた事なので、その理由を言葉で説明するのは意外と困難なのですが試みてみます。
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ロンドンでアンティークジュエリーを買い付けた時はいつも、アンティークジュエリーにも造詣が深い鑑定士に鑑定をしてもらいます。その方からは石の鑑別は勿論ですが、そのジュエリーの出来栄えや時代背景と云った考察等も伺えます。
このリングを見て貰った時の第一声は、
「エメラルドはキズの多い石なのに、これには殆どそれが無く、色も深みが有ってとても美しい。ジョージアンリングとしての出来栄えも素晴らしい」
と、大先生のお墨付きを頂きました。
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次に他のリングと違う光景は、エメラルドを金色のシャトンに乗せて真ん中に置き、それをシルバーのシャトンに収まったダイヤモンドが、それぞれ隙間を開けて並んで取り巻いている、というこの表情です。普通はダイヤとダイヤの隙間を殆ど開けずにビッチリと並べてもっとキラキラと輝いている、という表情なのですが、これはあまり輝き過ぎない控えめでどっしりと構えた控えめな感じが上品です。
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それを中心が少し持ち上がった淡い金色のシャンクで左右かかえています。
地金の表面には手彫り、もしくは削り出しで万遍なく模様が施されています。このゴールドシャンクの表面の落ち着いた金の風合いと曲線で作られたなだらかな隆起を持った造形美は、アンティークならではの美です。
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裏側もきれいに仕上げがされていますので、とても着け心地の良い指輪です。

僭越ではございますがこのリングの見解を述べさせて頂きました。
品物を理解する上でのご参考になれば幸いです。
でもその品物の好き嫌いは五感で感じる事ですので、頭で理解するこういった事柄ではどうしても上手く説明しきれないのですが。
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これらの細工を全て職人さんが手仕事で仕上げたのです。
型押しや機械的な方法では、絶対にこの風合いを醸し出せません。石、地金の色や形がそれぞれ違うのに、全体で見た時には大きさのバランスを含めてとても柔らかく良い感じにまとまっています。(私のお気に入りです)
熟練した匠の技と、素晴らしい感性、そして美しい物を作り出そうと云う情熱が作りあげた美術品です。

およそ200年も昔にこんな素晴らしいリングを作った職人さんに敬意を表します。

R-342
Gold Sv.
エメラルド ダイヤモンドリング
イギリス 19世紀初期
¥540.000+税



アンティーク ジュエリー GoodWill
青山店 TEL:03-3400-4117

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by goodwill-owner | 2015-02-08 11:00 | ジュエリー紹介