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ミニアチュール ペンダント


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1991年にグッドウィルを開業してから、買い付けの渡航先をロンドン、パリだけでなく、それ以外にも探して行って見ようと思うようになりました。
まずは情報を仕入れようと、機会が有る毎に知り合いのアンティークディーラーに「買い付けはどちらに行かれますか?」との質問をして模索を始めました。
ヨーロッパではアムステルダム、ブリュッセル、ウィーン、ミュンヘン等々候補はたくさん上がりました。それらの候補の都市を通常の買い付けの時に1か所ずつ潰していきました。
アメリカは広すぎて都市をまんべんなく訪れるのは現実的ではないので、アンティークフェアーを対象として検討しました。そしてその中でおそらく最大規模と思われるマイアミフェアーへ3泊4日で行く計画を立てました。

会場に着いて先ずびっくりしたのは、その大きさです。大きなイベントホールが何軒も連なっていて、その中にはびっしりとブースが並んでいるのです。
全体像を把握する為最初に下見として軽く、でも隈なく全てのブースでジュエリーを見て回ることにしました。アンティークだけでなく、モダンのジュエリーを扱っているブースもかなり有ります。アイテムもジュエリーに限らずアクセサリー、時計、美術工芸品等々種々雑多ですので、それだけで丸一日かかってしまいました。

次にびっくりしたのは、私の事を知っている人の多かった事です。
会場を見て回る時は、とにかくケースの中のジュエリーを万遍なく見て全ての商品をチェックします。そして目が止まり見せてもらいたい品物を見つけた時に、初めて顔を上げてそこのディーラーに声をかけます。
ところが私がケースの中を覗きこんでずっと下を向いてジュエリーを見ている最中に、そこのディーラーの方から「Hello Fujio !」と声がかかります。
ロンドンのアンティークディーラーが何人も来て、そこにブースを展開していたのです。
それだけでは有りませんでした。私が商品を見ている横からもポンと肩を叩かれて「Hello Fujio !」や「こんにちは 末永さん」とあちらこちらで声がかかります。
このショーを見にロンドンのディーラーは勿論、日本の同業者も数多く来ていたのでした。

それだけ多くの業者が世界中から集まって来ているのですから、展示されている商品の数も膨大です。述べ何千点のアンティークジュエリーを見たのか定かではありませんが、その中で私がこれ素敵だな、と感じて見せてもらったアンティークジュエリーの殆どが、ヨーロッパで作られた物でした。
アメリカ製のジュエリーは見せてもらっても、結局1点も買えませんでした。
そしてこのトリップで7点買いましたが、その内の4点はイギリスのディーラーからでした。
この経験で判った事が有ります。
私の好み、嗜好に合うアンティークジュエリーは、
1)ヨーロピアンテイストの品物だったんだ。
2)アメリカンテイストは合わない。
という事です。

その後の色々な機会でアンティークジュエリーをいくら見ても、一向に外しません。

前置きが長くて済みません。これから今回の主役のお話に入ります。

そのマイアミフェアーでイギリスのディーラー以外のディーラーから買ったミニアチュールのペンダントです。
3人のエンジェル、もしくは子供たちが網で蝶を採っているのどかな光景です。それぞれ皆違うかわいい表情をしています。


エンジェルモチーフは頻繁に見かけますが、どの作品も顔は全部違います。手描きされたからこその成せる業です。
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フレームもおそらくフランス製と思われますが、真珠で表現された花や薄いゴールドのリーフがとても繊細で軽やかです。真珠の一つ一つの色と形が微妙に違うところも、味のある優しい雰囲気を醸し出す要因です。
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チェーンを通すバチカンだけはちょっとしっかりめで、艶出し仕上げで色も微妙に本体とは違いますので、このパーツだけは後で取り付けられた物と推察されます。

裏側の真ん中のオーバル形のガラスの蓋は蝶番で止められていますので、観音開きに開いて中に写真を入れられるロケットとして使用できます。愛する人の写真をいつも身に着けて、いつでも会えるようにしていたのですね。
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見ているだけでなんだか優しい幸せな気持ちにさせられてしまうという、不思議なパワーを持った逸品です。
顔が自然にほころんでしまいます。

Gold. Sv.
パール ミニアチュール ペンダント
フランス 19世紀中~後期
by goodwill-owner | 2012-12-22 12:10 | ジュエリー紹介